ナターシャ・カンプッシュさんは、わずか10歳で誘拐され、8年以上もの間監禁されるという壮絶な経験をしました。
後に、オーストリア少女監禁事件として知られることとなるこの事件は、彼女の勇気と決断による奇跡的な脱出の物語でもあります。
長い監禁生活の中で、どのように彼女が脱出のチャンスを掴み取り、そしてその後どのように人生を歩んでいるのか。今回の記事では、彼女の驚異的な物語とその後の生き方について詳しく見ていきます。
- 3096日監禁事件の概要
- ナターシャ・カンプッシュさんと犯人の接点
- 地下室での監禁生活:8年以上の壮絶な日々
- 奇跡の脱出とその経緯
- 『3,096 Days』手記発表、そして映画化
- ナターシャ・カンプッシュさんの現在
オーストリア少女監禁事件として知られる3096日にも及ぶ監禁事件について興味のある方は、是非ご覧ください。
3096日監禁事件の概要
1998年3月2日、オーストリアのウィーンで当時10歳のナターシャ・カンプッシュさんが登校中に誘拐されました。
彼女は白いバンに無理やり押し込められ、犯人ヴォルフガング・プリクロピルによって地下の防音室に監禁。警察は彼女の行方を追いましたが、手掛かりがなく、事件は長期化することになります。
ナターシャ・カンプッシュさんと犯人の接点
プリクロピルは複雑な家庭環境の中で育ち、支配的な関係を築こうとする傾向があったとされていますが、ナターシャさんとの間に元々の接点はありませんでした。
プリクロピルは「完璧な世界」を作り上げるという歪んだ願望を抱えており、彼女は偶然その犠牲者になったに過ぎません。
地下室での監禁生活:8年以上の壮絶な日々
プリクロピルは、自宅の地下に設置された5平米ほどの防音室にナターシャさんを監禁し、彼女に厳しい服従生活を強いました。
彼は彼女に最低限の食事しか与えず、髪を剃り、奴隷のように扱い、自分の理想とする「完璧な関係」を強制。
ナターシャさんは精神的にも身体的にも虐待を受けましたが、その中で「私は監禁されるために生きているのではない」と自らに言い聞かせ続ける生活を8年以上にわたる長期間、続けることになります。
奇跡の脱出とその経緯
誘拐から3096日目の2006年8月23日、ナターシャさんは庭で車の掃除をしている最中に、プリクロピルが電話を取るために一時的にその場を離れた瞬間を逃さず、掃除機を置き、鍵がかけられていなかった庭のゲートから逃走します。
彼女は長い間、プリクロピルの行動パターンを観察し、自分が自由になる瞬間を待ち続けていました。そして、その瞬間が来たとき、彼女は迷うことなく行動。
彼女は全力で走り、通行人に助けを求めましたが、なかなか信じてもらえません。それでも彼女は諦めず、民家の窓を叩いて泣き叫び、必死に助けを求め続けます。
そして、ようやく住人が警察に通報。ついに彼女は無事保護されることに。
彼女が奇跡的に脱出できたのは、監禁生活の中で蓄えた観察力と冷静な判断力、そして決断力があったからこそです。
彼女は長期間にわたる監禁の中で、逃げるチャンスを常に探り、リスクを計算し、最適な行動を取るために準備していました。そして、その努力がこの奇跡的な脱出につながったのです。
事件の結末
ナターシャさんが逃げた後、プリクロピルは警察に追われていることを知り、ウィーン北駅近くで列車に飛び込み自殺。これにより、動機や経緯について彼の口から語られる機会は永久に失われる結末となりました。
『3,096 Days』手記発表、そして映画化
ナターシャさんは2010年、自身の体験を綴った手記『3,096 Days』を発表。
この本は、彼女が監禁されていた8年間に何を感じ、どのようにして耐え抜いたのかを詳細に描写しています。
その後、この手記は2013年に映画化。映画『3,096 Days』はシャーリー・ホルマンが監督を務め、主演のアントニア・キャンベル=ヒューズは、ナターシャさんの役作りのために大幅な減量を行い、撮影中には骨折や負傷も経験したとされています。
映画は、ナターシャが監禁されてから脱出するまでの過程をリアルに描き、彼女の苦しみ、そして強さを観客に伝える内容。映画はドイツ国内外で公開され、興行収入は667万ドルを記録し、国際的な注目を集めました。
ナターシャ・カンプッシュさんの現在
解放後、ナターシャさんは手記の収益や世界中からの寄付によって集めた1500万ルピー(約1500万円)を用いて、スリランカに小児病院を設立。彼女は、自身が子供時代を失った経験から、他の子供たちに豊かな未来を提供したいという思いでこのプロジェクトを進めたのです。
現在もウィーンで生活を送り、蘭の花や金魚を飼いながら日常生活を楽しんでいる彼女は、刑事ドラマを好んで視聴するなど、自分の趣味を見つけ、心の平穏を保とうと努力しているとのこと。
そして、監禁中の体験と向き合いながらも、手記の発表や映画の公開を通じて、自身の過去を他者と共有し、過去にとらわれず新たな人生を切り開こうとしています。
まとめ
ナターシャ・カンプッシュさんは、幼い頃に誘拐され、8年以上にわたる監禁生活を経験しましたが、強い意志と冷静な判断力によって自力で脱出を果たしました。
その後、自身の体験を手記や映画を通じて伝える一方、現在もウィーンで生活を送りながら、過去と向き合い、新たな平穏を見つけるために努力を続けています。
彼女の強い意志と勇気に感動するとともに、彼女の今後の幸せを願わずにはいられません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。