ブリティッシュ・エアウェイズ5390便事故顛末【機長の体が機外に】

航空機事故というと、悲惨な結末を想像してしまいますね。でも、1990年6月に起きたブリティッシュ・エアウェイズ5390便の事故は、驚くほど幸運な結末を迎えました。

高度5000メートルの上空で操縦席の窓ガラスが吹き飛び、機長が機外に半身を投げ出されるという、前代未聞の事態が起こったのです。

そんな絶体絶命の危機を、乗務員たちの冷静な判断と機転で乗り越えた驚きの実話です。

この記事でわかること
  • 事故の概要
  • 前代未聞の航空トラブル
  • 副操縦士の機転
  • 事故の原因
  • 安全勧告と教訓
引用元:X(TWITTER)

機長が機外に半身を投げ出される危機を乗り越えた、ブリティッシュ・エアウェイズ5390便の事故について興味のある方は、是非ご覧ください。

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目次

事故の概要

1990年6月10日、ブリティッシュ・エアウェイズ5390便で前例のない航空事故が起きました。バーミンガム空港からマラガ空港へ向かう途中、操縦席の窓ガラスが突然吹き飛び、機長が機外に半身を投げ出されるという衝撃的な事態に見舞われたのです。

この事故の特筆すべき点

  • 高度約5,300メートルでの事故発生
  • 機長の上半身が機外に
  • 全乗客乗員が奇跡的に生還

航空史上まれに見る危険な状況でしたが、乗務員の冷静な判断と対応により、奇跡的に全員の命が守られました。まるで映画のようなこの出来事が、現実に起こったという事実に、私たちは驚かされます。

前代未聞の航空トラブル

事故機がバーミンガム空港を離陸してから約13分後、高さ約5,300メートルに達した時、突然操縦席の窓ガラスが吹き飛びました。その瞬間、機内は霧に包まれ、急激に気圧が下がりました。

最も衝撃的だったのは、機長のティム・ランカスターが上半身を機外に吸い出されてしまったことです。幸いにも彼の足が操縦桿に引っかかり、完全に機外へ放り出されることは免れました。しかし、その状態で時速約555キロメートルの強風にさらされ、気温マイナス17度という厳しい環境に置かれることになりました。

機長が直面した極限状況

  • 時速555キロメートルの強風
  • 気温マイナス17度の極寒
  • 希薄な酸素

このような状況は、映画のワンシーンのようで現実とは思えません。しかし、実際に起こったこの出来事は、航空機の安全設計や整備の重要性を改めて認識させる契機となりました。同時に、予期せぬ事態に直面した時の人間の対応力の素晴らしさを示す出来事でもあったのです。

副操縦士の機転

この危険な状況を乗り越えたのは、副操縦士アラステア・アチソンの冷静な判断と機転です。彼の対応は以下の3点で特に注目されます。

アチソン副操縦士は、機長の足を操縦桿から外さず、意図的に急降下を続けました。これにより高度を下げ、乗客乗員の呼吸を安定させ、酸素不足を防いだのです。また、機長を機外に放り出さないよう指示を出し、エンジンへの吸い込みを防ぎました。

  1. 急降下の継続
  2. 機長の保持
  3. 緊急着陸の実行

最終的に、一人で通信と操縦を行いながら、サウサンプトン空港への緊急着陸を成功させました。通常2人で行う作業を1人でこなすのは非常に困難です。しかも、これほどの緊急事態の中でのことです。アチソン副操縦士の冷静さと技量が、安全な着陸を可能にしたと言えるでしょう。

アチソン副操縦士の対応は、危機的状況下での理想的な行動モデルと言えます。冷静な状況判断、迅速な意思決定、そして的確な行動。これらは、航空業界に限らず、あらゆる危機管理の場面で求められる能力です。

事故の原因

事故の主な原因は、整備不良にあったことがわかりました。具体的には以下の点が指摘されています。

  • 窓ガラス固定用のネジの不適切な使用(規格外の小さいネジを使用)
  • 整備マニュアルの確認不足
  • 忙しい勤務状況による独自の省略された整備手順の横行
  • 整備の適切性確認の欠如

これらの問題点は、航空安全の根幹に関わる重大な問題です。特に、規格外のネジの使用は、一見些細なミスに思えるかもしれません。

しかし、高度な技術を要する航空機において、そのような「小さな」ミスが致命的な結果をもたらす可能性があることを、この事故は明確に示しています。

また、航空機の設計上の問題として、与圧されている航空機の窓ガラスが外側から固定されていたことも指摘されました。これは、航空機の設計においても、あらゆる可能性を考慮する必要があることを示唆しています。

この事故を通じて、日常的な整備の重要性、マニュアルの遵守、そして設計段階からの安全性考慮の必要性が再認識されました。

同時に、効率性を追求するあまり安全性が損なわれる危険性についても、警鐘を鳴らす出来事となったのです。

安全勧告と教訓

この事故を受けて、ブリティッシュ・エアウェイズと英国民間航空局に対し、以下のような安全勧告が出されました。

  • 整備部品の管理方法の見直し
  • 整備担当者の再教育と再試験の実施
  • 航空機の重要な整備作業に関する認定制度の再考
  • 緊急時対応訓練の強化

これらの安全勧告は、単に形式的なものではなく、実際の事故体験に基づいた具体的で実効性のあるものです。航空業界全体がこの事故から学び、安全性の向上に努めたことは特筆すべきでしょう。

また、これらの教訓は航空業界に限らず、あらゆる産業や日常生活にも適用できます。日々の点検の重要性、マニュアルの遵守、継続的な教育訓練の必要性など、普遍的な価値を持つ教訓が多く含まれているのです。

まとめ

ブリティッシュ・エアウェイズ5390便の事故は、航空史に残る驚くべき出来事でした。操縦席の窓が吹き飛び、機長が機外に半身を投げ出されるという危険な状況。しかし、副操縦士アチソンの冷静な判断と乗務員の協力により、奇跡的に全員が無事でした。

この事故から私たちが学べることはたくさんあります。

  • 日々の点検と整備の大切さ
  • 危険な状況での冷静な判断と行動の必要性
  • チームワークの重要性
  • 安全システムを常に改善していく必要性

一見、航空業界だけの問題に思えるかもしれません。でも、これらの教訓はあらゆる分野に当てはまります。日々の仕事や生活の中で、「もしも」の事態に備える意識を持つこと。そして、危機に直面した時こそ冷静さを保ち、周りの人と協力して問題解決に当たること。

この事故は、人為的ミスが引き起こした悲劇であると同時に、人間の判断力と対応力が危機を乗り越えた物語でもあります。

私たちの日常に潜む「もしも」の危機に、どう備え、どう対応するか。この事故は、その大切なヒントを与えてくれているのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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