プロレスファンの間で長年議論されてきた「ブック破り」と「八百長」。Netflixの新作ドラマ「極悪女王」でもこの話題が取り上げられ、再び注目を集めています。この記事では、プロレス界の裏側や、ファンの間で交わされる熱い議論について詳しく解説します。
- プロレスにおける「ブック」とは?
- ブック破りが意味するものは?
- プロレスは本当に八百長なのか?
- 「極悪女王」におけるブックの描写
- プロレスファンの反応と議論
「極悪女王」、そして「ブック」という言葉に興味のある方は、是非ご覧ください。
プロレスにおける「ブック」とは?
一般的にプロレス界で「ブック」という言葉は、試合の展開や結果を事前に決める行為を指します。
ブックの目的
- 観客を楽しませるストーリー作り
- 選手のキャラクター性の強化
- 興行の盛り上げ
選手を守り、人気を盛り上げるために使われる「ブック」ですが、「ブック」という言葉自体は業界内でタブー視されることもあり、公には使われないことが多いのが現状です。
特に総合格闘技が隆盛となる以前は、プロレス(の勝敗)は真剣勝負であるという幻想が強かったことも、その一因となっています。
アングルとブックの違い
プロレス用語として「ブック」と似た概念に「アングル」があります。これらは似て非なるものですので、ここで違いを説明しましょう。
- アングル:リング外でのストーリー展開や抗争に関する筋書き。
- ブック :試合そのものの進行や勝敗の付け方に関する台本。
アングルは主にブッカー、マッチメーカー、シナリオライターによって組み立てられ、選手間の抗争等、試合の前後のストーリーづくりを指す言葉です。
一方、ブックは試合内容そのものを指す言葉となります。
例えば、ある選手が突然ヒールターン(悪役に転向)することを決めるのはアングルの一部で、その選手が次の試合でどのように振る舞い、どのような結果になるかを決めるのがブックになります。
アングルがしっかりと構築されていると、試合自体がより盛り上がり、観客の感情移入も深まり、ブックはそのアングルを劇的に可視化する試合内容について決定する役割を果たします。
つまり、アングルもブックもプロレス人気を盛り上げるためのツールとして、長く機能してきた歴史があることになります。
ブック破りが意味するものは?
ブック破りとは、事前に決められた展開や結果を無視して、レスラーが自分の意志で試合を進行させることを指します。
これは時として観客を驚かせ、話題を呼ぶこともありますが、多くの場合は否定的な影響を当事者であるレスラーに及ぼします。
ブック破りの影響
- 団体への損失(ストーリーの崩壊)
- 他のレスラーとの信頼関係の損失
- 結果として、団体からのペナルティ(出場停止、減給など)
例えば、ダンプ松本さんの事例では、試合を欠場したことで50万円の罰金と、新人3人に負けるという制裁(ブック)を受けたそうです。
プロレスは本当に八百長なのか?
プロレスが「八百長」かどうかという議論は、ファンの間で絶えません。しかし、この議論には重要な視点が欠けているように思います。
1. エンターテイメントとしてのプロレス
プロレスは格闘技要素だけでなく、ショーとしての側面も強い
レスラーたちは真剣にパフォーマンスを行い、その為のトレーニングを重ねている
2. 技術と身体能力、そして頭脳を使った真剣勝負
事前の打ち合わせはあっても、実際の技の出し方や受け方は真剣勝負
レスラーの身体能力や技術力、更に思考力が試される場
3. 観客との共犯関係
多くのファンは「ブック」の存在を理解した上で楽しんでいる
予定調和のせめぎ合いを楽しむ文化
これらの要素を考慮すると、プロレスを単純に「八百長」と片付けるのは適切ではないでしょう。むしろ、独特の魅力を持つ中毒性の高いエンターテイメントとして捉えるべきだと考えます。
「極悪女王」におけるブックの描写
Netflixドラマ「極悪女王」では、「ブック」という言葉が頻繁に使用されています。これは実際の業界慣行とは異なる可能性がありますが、ドラマとしての分かりやすさを重視した結果だと考えられます。
ドラマでの「ブック」の使用例
- ジャガー横田役の選手が「ブックなしでクラッシュとやらせろ」と発言
- 勝敗が決まっていたにも関わらず、レスラーが勝利した際に「ブック破りだ」と非難される
これらの描写は、プロレス界の裏側を脚色し、演出したものと捉えるべきでしょう。実際の業界では、こうした直接的な言葉遣いはあまり見られないかもしれません。
プロレスファンの反応と議論
「極悪女王」の配信を受けて、プロレスファンの間でも様々な議論が巻き起こっています。
ファンの反応
- 「ブック」という言葉の使用に違和感を覚える声
- ドラマの演出としては理解できるという意見
- プロレスの魅力が正しく伝わるか心配する声
これらの反応は、プロレスファンの「真剣勝負」への思い入れの強さを示していると言えるでしょう。同時に、エンターテイメントとしてのプロレスの魅力を、より多くの人に知ってもらうきっかけにもなっているのではないでしょうか。
結論として、プロレスは単純な「八百長」ではなく、独自の文化と魅力を持つエンターテイメントだと言えます。「ブック」や「ブック破り」といった概念は、その魅力の一部であり、ファンはそれを理解した上で楽しんでいるのです。
「極悪女王」をきっかけに、プロレスの奥深さに興味を持つ人が増えることを期待しています。
まとめ
プロレスにおける「ブック」と「ブック破り」の概念は、この世界の複雑さと魅力を物語っています。
- 「ブック」はプロレスの物語を作る重要な要素
- 「ブック破り」は時に話題を呼ぶが、多くの場合ネガティブな影響がある
- プロレスは単なる「八百長」ではなく、独自の文化を持つエンターテイメント
- ドラマ「極悪女王」は、プロレスの裏側を脚色して描いている
- ファンの間では「ブック」の描写に賛否両論があるが、プロレスへの関心を高めるきっかけにもなっている
結局のところ、プロレスの真の魅力は、リング上で繰り広げられる熱いパフォーマンスと、それを楽しむファンとの一体感にあります。
「ブック」や「八百長」という言葉に惑わされず、プロレスという、最高に熱いエンターテイメントの奥深さを楽しむことが大切なのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。